スリップについて


【スリップについて、もう少し深く考えてみる。

 

ノーマンのスリップ分類によると、大きく3つに分類されるようだ。

その中でもまた細かく分かれていくので、以下順に説明を加えていく事にする。

 

1.意図の形成段階のスリップ(Slips During the Formation of an Intention)

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1-(1).モードエラー Mode Errors: Erroneous Classification of the Situation

状況を不確認のまま、別の場面では正しいとされる行動をしてしまうスリップである。

例1 シャープペンが書けないので、ついペン先に息をかけ温めた。

(鉛筆のときにする行為をしてしまったのである)

例2 眼鏡はどこだ、と眼鏡をかけたまま探す。

(眼鏡モードと裸眼モードを取り違えたことになる)

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1-(2).記述エラー Description Errors: Insufficient Specification

意図を形成するのに関連する情報が十分に得られなかったり、

意図が適切でもそれを実行する行為がきちんと指定されないために起きたスリップである。

何をするかの特定しないまま実行されたため、下記のようなぼんやりしていたとしか思われない

エラーが出る。

例1 知らないうちにコーヒーカップにシュガーポットの蓋をした。

例2 銀行のキャッシュサービスに、図書館の入館証のカードを入れる。

例3 リンゴの皮をむいて、剥き終わって皮ではなくリンゴを捨てた。

例4 ラップをかけた皿を冷蔵庫に入れようとして、ラップの方を入れた。

 


 

2.スキーマの活性化段階のスリップ (Slips That Result From Faulty Activation of Schemas)

★2_1.意図していたのとは違うスキーマが活性化するのと、

★2_2.意図したスキーマの活性化が消失するのとの2つに分かれる。

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★2_1 意図しない活性化 Unintentional Activation

2_1-(1). 奪取エラー(囚われエラー) Capture Slips

習慣性が強かったり、直前にしていた行為のスキーマが活性化して、

それが意図したはずのスキーマにとってかわる、つまり奪取するスリップである。

習慣や癖になった行為に囚われてしまうとも解釈できる。

(例)トランプ遊びをしていた後にコピーの枚数を数えたら、nine, ten, Jack, Queen, Kingと数えた

(例)10月から何ヵ月経ったろうかと思い、10、 11、12、13、14月と数えた。

(例)頼まれた買い物をしに回り道すべきを、いつもの通学路を行ってしまった。

(例)職場の電話に自分の名前でとってしまった。

(例)コンビニでアルバイトしている学生が、客で店にいたのにチャイムの音に思わず 「いらっしゃいませ」と声をあげた。

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2_1-(2).データ推進型活性化 External Activation (Data Driven)

外の事象に引きつられるようにしてスキーマが活性化する事。

(例)電話の最中にドアがノックされて、電話に向かって「どうぞお入りください」と言ってしまう。

(例)赤い文字で「青」と書かれた文字列を赤と間違えて読んでしまう。(ストループ効果)

2_1-(3).連想活性化 Associative Activation

話の中で、思い浮かべていた場所とまったく別の場所のことを話したりする。

話をしていて横道にそれる。

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★2_2.活性化の消失(Loss of Activation)

・意図の忘却 行為が途中で、意図を忘れて中断してしまう。

(例) 二階にものを取りに行ったが、何しにきたか忘れ、別の用を足して戻った。

(例) コミュニケーションを「コニュミケーション」と言う。(手順前後 順序が逆転したり、狂う。)

(例) 洗髪のとき、シャンプーしないでリンスした。(手順とばし 途中の行為を省略する。)

(例) 鍵をかけたのに、もう一度戸締りをした。(反復:したことを忘れて繰り返す。)


3. 誤起動(Slips That Result From Faulty Triggering of Active Schemas)

最終的に行為が実行される段階でのエラーである。

適切にスキーマが活性化していても、不適切に起動したエラーの事。

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3-(1).スプーナリズム(頭音転換) Spoonerism

2つ以上の単語の頭の音を取り換えて発声するエラーである。

(例)野球中継で、アナウンサーが「速い玉足」を「たまいはやあしでした」と実況した。

(例)「マイケル・ジャクソン」を「ジャイケル・マクソン」という。

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3-(2).混合 Blends

複数のスキーマがトリガー(起動)し、言葉の要素などが混ざるなどの現象である。

(例) 「いいでしょう」を「いいだしょう」という。

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3-(3).考えの行為化 Thoughts Leading to Actions

頭の中に浮かんだだけで実行するつもりはなかったのに、いつのまにか行為に走る例。

(例)バントの仕草をしながら代打を告げた。

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3-(4).尚早反応(先取り) Anticipation Error

もっと後で起動すべきスキーマの要素が先に出現するスリップ。

タイミングを間違うのは運動反応では多い。

出典

(§2ヒューマンエラー 吉田 信彌(2001年記、2005年改訂)様のレポートを参考にさせていただきました。ありがとうございました。)

 


 

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